Koy's blog

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2015年1月21日水曜日

最盛期の日本のヒーローものを再生させたディズニーマジック。やっと「ベイマックス」観て来ました、な感想。

いつか息子と二人きりで映画に行きたかった。

その記念すべき初映画は「ベイマックス」(原題:Big Hero 6)でした。(公開からもう2ヶ月経ってます。はい。。)

5歳となり、一緒にポップコーンを食べながら、時に顔を見合わせて笑いながら、二時間近くも映画に集中出来る様になるなんて、オヤジとしては感慨深くて泣けて来ます。

これからも一緒に映画館に行こう!
オレもオヤジにそうやって映画館に連れて行ってもらって筋金入りの映画ファンになったのだよ。

しかし、このベイマックス。
いや、やはり原題の「Big Hero 6」が相応しい。


日本版タイトルとポスターには何か「ドラえもん」的なハートフルな解釈を無理くり入れ込んだような違和感を感じます。
(もちろん、後半で泣きましたが。。。ハワイのローカルの観客も笑いに笑い、泣きに泣いてました。後半は至る所で鼻水ジュルジュルの音が。。。)

これは、やはり「ヒーロー」モノです。
主人公が、兄の死を乗り越え、仲間と助け合い、そして敵に向かって行くような「葛藤」がきちんと描かれます。ヒーローズジャーニーです。
ハリウッド王道の映画文法に則っています。明確に。

血沸き肉踊る、な戦隊モノですよ、これ。

さて、この映画。


今まで、これ以上にあからさまな「日本Love」に満ちたハリウッド映画を見た事が無いです。

日本のキッズ向けコンテンツが全盛期だった「かつて」の頃のすべてが詰まっている。

元々はディズニーが買収したマーベルコミックで1年だけシリーズが続いたコミックが原作だ。
その原作は日本人と日本が舞台の「Otaku」ターゲットのものだった。
僕は読んだ事が無い。

それを、ディズニーがアニメ制作にあたって、マーベルに埋もれる作品からコンテンツ素材を探したことが映画化のきっかけらしい。

そもそも、主たる制作者の面々はこのコミックをキチンと読んだ事が無いと言っている。
「タイトルが気に入った」と。

だから、原作の趣きは完全に無視されているのだろう。僕も読んだ事が無いので分からない。

彼ら制作者は完全にオリジナルのロボットモノが作りたかったと言っている。
だから、既に世間に認知された原作は欲しくなかったのだ。

ついでに、日本のロボットモノからも影響は受けていない、みたいな発言もしている。

いや、きっとそれはジョークだろう。

なにせ、ディズニーには「ライオンキング」という前科がある。

あれは、あからさまな「ジャングル大帝」のパクリだったのだが、頑として彼らは認めなかった。
虫プロは「手塚も喜んでいるはずです」という生き馬の目を抜くハリウッドでは全く通用しないような、超日本的な大人過ぎる対応を見せ、全米のアニメファンから感動された(はず!)。

この「ベイマックス」はジョン・ラセター(初のフルCGアニメ、トイストーリーの監督と脚本を担当した最高のクリエイターの一人です。)という希代のアニメーターでありプロデューサーがディズニーの英知を結集させた優れた作品である。

彼らがどう「明確に」否定しようとも、僕はこの作品から彼らの日本アニメへの深い愛とレスペクトを感じてしまったのだ。「ありがとう!」と言わせてもらいます。

この作品はほとんど「(しつこいけど)かつての」日本のアニメやヒーローものに不可欠だった以下の要素をふんだんに取り入れている。

ロボットヒーローモノ(マジンガーZ、グレンダイザー)
おとぼけなロボットデザイン(タツノコプロ系のタイムボカンシリーズ)
男の子とロボットの友情(藤子F不二夫先生系。ドラえもんとかキテレツ)
戦隊モノ(チームで悪を倒す。ゴレンジャーからのパワーレンジャー)
話が勧善懲悪ではない(悪い敵にも理由がある系のストーリー)

今までも、ハリウッド映画で友情を描いた冒険もの(グーニーズとか)は一杯あったし、少年と人間ではない何かとの友情(ETとかショートサーキットとか)も確かにあった。


タランティーノのキルビルvol1も日本愛に満ちていたけれど、どちらかというと亜流と言うか、サブカルっぽい。

所が、このベイマックスでは、まさに日本的な情緒がストーリーのど真ん中を貫いているのです。


それも思いっきり、真っすぐに。何の躊躇もなく。

友情と助け合い。敵をも助ける。罪を憎んで人を憎まず。
何と、日本的なプロット!

まぁ、これが純粋日本のアニメだったら、ちょっとダメでひ弱な男の子が、ロボットと行動を共にする事で、成長するとかになったのかもしれないが、ベイマックスの主人公は「ひ弱」ではない。

そこは、「アメリカ的」と言えなくもない。。

それでも兄を亡くし途方に暮れ、日々意気消沈して過ごしている、という設定によって主人公がロボットの友人と他の仲間達によって再生していくという日本的な物語を違和感無く描いているのは見事だ。

これだけの要素をぶち込んでも、たんなるアニメオタク万歳にならず、きっちりヒーローものとして心が躍るような「ディズニー映画」になっているのは、エグゼクティブプロデューサー上述のジョン・ラセターの手腕だと僕は思っている。

この映画はかつて日本のヒーローものとアニメで育ったパパが自分の息子と観に行くには近年でベストな映画です。

ディズニーとピクサー、そしてかつて子供だった頃の僕に夢を与えてくれた日本製ロボットモノのテレビ番組に敬意を表して。。。息子と一緒にマジンガーZとかバビル二世を見たくなりました。

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