最近の東京の書店では。
最近はKindleで本をゲットすることが多いのですが、それでもリアルな書店でのひとときは結構な癒しの時間だ。
その時々の自分が何を問題と考えているか分かるし、世の中の人が何を欲しているかの断片を知る事が出来る。
前回の東京へのショートトリップでも数件の本屋に通った。
そして、日本人(東京だけの傾向かもだけど)が最近はこういう(↓)のを求めてるのだと知った。
・新しいワークスタイル
・(伝わる)コミュニケーションの仕方
・引き寄せの法則(系)
自己啓発系が多かった。
少なくとも、青山、六本木、恵比寿界隈の本屋での傾向だ。
テクニカルなビジネス書と言うより、
・個人としてどう(働き)生きるべきか。
・価値観の異なる人にどう対峙して行くのか。
・人生をもっとベターなモノにするにはどうしたら良いか。
みたいな目先の事よりも上位概念的な内容の書籍が目についた。
いい大学を出ていい会社に入る事がデフォルトであり、「会社人生」というモデル、というか価値観が画一的だった頃はそういう本が平積みなることは無かった様に思う。
そういう種類の書籍は、書店の隅の方の宗教関係や哲学、心理学系の方にナポレオンヒルやカーネギー、マーフィー博士の本がひっそりとおかれている程度だったように思う。
一つの会社で人生を全うする分かりやすいモデルが崩壊してしまった。
高度成長期やバブル以前と以降の入社では同じ社内の人間も世代間の価値基準にギャップがあるような時代になってしまって、身近にロールモデルがなくなってしまった証拠なのかもしれない。
閉塞感と自分の人生への迷い、みたいなことを感じている人が少しでも前向きになろうとしている感じが今の東京なのかもしれない。
アメリカの「セルフヘルプ」ジャンル
アメリカでも自己啓発系は「セルフヘルプ」とカテゴライズされてジャンルとしてはかなり大きい。
こういう種類のジャンルの本場と言って良い。
もはや米国でリアルな書店チェーンと言えば「バーンズ&ノーブル」しか無いが、そこでも大きなコーナーがある。
アメリカ人は、生粋の自己責任信奉者かつ自己実現信奉者達なので、こういった「セルフヘルプ(自助)」の話が好きなのである。
誰かに聞いたのだが、これほど「自己啓発系」の書籍が好まれるのは、アメリカとそして最近の日本だけらしい。
ヨーロッパ人は、そもそも「自分らしく」人生を謳歌出来ればいいので社会的な尺度で測ったような「成功」や「人生一発逆転」を狙うようなメンタリティが薄いのがその理由なんだとか。。。
僕はそういうヨーロピアンな潔い「何も変わらないんだから、今日のワインを楽しむ事だけを考えよう」みたいなマチュアな吹っ切れた感じに憧れを感じてしまうタチだ。。
そう言えば、外資系の会社員だった頃ヨーロピアンの同僚が多く参加するグローバル会議に参加した。
僕は長い会議の後、ホテルのジムに行こうとそそくさと会議室を出ようとした。
その時、フランス人の同僚から呼び止められて、「よう、この後みんな(ヨーロッパ人)で夕飯までロビーのラウンジでワインを飲むけど、来いよ」と誘われた。
僕は「悪い、フィットネスジムで一汗流してからディナー参加するよ」と応えた。
「おいおい、ここはアメリカじゃないぜ。悪い事は言わない、ここのホテルのラウンジは最高にイケテルんだ。」みたいな事を笑いながら言われた。
彼らはヨーロッパのリゾートまで来て会議の後に、いつものルーティン的にジムに行こうとした僕を「セルフヘルプ」に余念が無いアメリカ人のビジネスマンと同様に見たのだった。
結局僕はジムに行ったのだが、そのジムにはアメリカ人の同僚がやはり来ていて黙々とトレッドミルで走り込んでいた。
本場の「セルフヘルプ」の本質は自力本願でリアリスト。
アメリカ人はそういう本を読むけれど、根はかなりのリアリストだ。
さらに、その根っこの奥底にはクリスチャン的な「求めよさらば与えられん」というコンセプトが染み付いている。
これは、自分と言う「個」を出発点として社会と対峙していく、というアメリカ人独特のメンタリティにもの凄く関係している。
分かりやすく言うと、自分の給料を上げるのに「待つ」ことをせず積極的に要求して行く事、そして受け入れられなければ身軽に転職して行く事(まぁ、不況の時はその限りではないけれど)が出来る彼らの行動を見ると分かりやすい。
世の中の全ては「交渉事」だと骨の髄までしみ込んでいる彼らは、「セルフヘルプ」の書籍からインスピレーションを受けて行動すれば人生は好転していく、ということを心底信じて実践しているのだ。
で、日本人というのは「要求する」ということに全然慣れていない人達だ。
「個」が先にあって、そこから何事もスタートする、というより「集団」が先にあって、そこから自己を確認して行く、というメンタルだ。
自ら「個」を前面に出して「要求」して行くのは、かなりしんどい。
何故なら、「集団」の利益と「個」の利益は背反するかもしれないからだ。
会社がこんな苦しい時期に、給料上げろなんて言えないよな〜、とか思うのは日本人なら普通の感覚だ。
実際にそういう果敢な同僚がもし居たとしたら、相当な違和感を感じてしまうだろう。
ただ、上に挙げたような書籍に出版社が力を入れているという事は、少なくとも東京に住み、本を習慣的に購入する人達の間では、「個人」として生きることの必要性みたいなものが徐々に認知されて来ているのかも知れない。
集団や共同体に依存した所で、誰も自分の人生に救いの手を差し伸べてなんかくれない、ということをリアルに感じ始めているのかも知れない。
そういう本にヒントを求めて、自分の人生の目的を真摯に考えて行動する為のモチベーションにするのは何もしないより余程価値があると僕は考える。
ただ、特に自己啓発系書籍の(アメリカ発信の)翻訳本の場合、あくまでも「個」としての行動が前提としてあることを忘れてはいけないと思う。
そこを外してしまうと、どう働きどう人生のミッションを発見するのか、というビッグクエスチョンや「引き寄せの法則」や「思いは現実化する」というアイデアの「スピリチュアル」な側面ばかりに期待が寄ってしまう可能性があると思うからだ。
気が付くと「引き寄せ」を信じる「集団」の一部となっている自分を発見するだけになってしまうかも知れない。
ある「集団」から別の「集団」に意識が移っただけということだ。
だとしたら、メチャクチャもったいない。
「Self-Help」という文字通り、自分という個人を高める為のツールがこのジャンルなのだ。
日本人にはメチャクチャ苦手なはずの「個人」を確立することが本当の「セルフヘルプ」のスタートなんだと僕は思う。
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