Koy's blog

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2015年3月4日水曜日

ストーリーテリング。ストーリー作りにおける鉄則のお話。

誰しもが「ストーリー」を求めている。


僕は「ストーリー」信奉者だ。
人は「ストーリー」に感動し、共感し、勇気をもらう。


マーケティングやコミュニケーションの仕事をしていると、
よくプロダクトやサービスには「ストーリー」が大事だ、という話を耳にする。

優れたビジネスアイデアには「ストーリー」が必要。

消費者には「ストーリー」で伝えよう。

みたいな文脈で使われる。


現代は製品やサービスがコモディティ化してしまった成熟社会だ。
製品のベネフィット(メリット)だけをテレビのCMで連呼しても消費者はもう誰も話を聞いてくれない時代になってしまった。

だから「共感させるストーリー」がブランドやサービスには必要なんだ!

全くもって正しい!
議論の余地がないほどに!

では、じゃぁ一体「ストーリー」って何だろう?

今や、企画書をつくる上で「ストーリー」は必須だと思っているビジネスパースンに「ストーリー」が「ストーリー」である為の「要素」について聞いてみよう。

驚くほどまちまちの答えがあるようだ。

「共感」「感動」「ベネフィット(メリット)の提示」「敵(競合)の存在が必須!」「起承転結のあるお話」など。


どれも正解と言えなくも無さそうだ。
それでも、居心地の悪い曖昧さは残る。

ビシっと、これが原則で鉄板な法則みたいなものはないのだろうか。

「ストーリー」とは100人の人が居れば100通りの、100個のブランドがあれば100通りのストーリーが成立するので、絶対的な「ストーリーテリング」の法則など無いような気がしてしまうのかもしれない。

実は、そんな事は無い。
法則はある。

絶対的な原則と言えるものが存在しているのだ。


ストーリー作りに欠かせない法則とは?


僕の知る何人かの国内外の優秀なマーケターやクリエイターは間違いなく優れた「ストーリーテラー」だ。
そして「法則」を知っている。

ストーリー作りのメッカ、ハリウッドにヒントを求めてみよう。

かの地のクリエイターなら誰しもが知っている法則だ。

ハリウッドでは四半世紀以上前からほとんど全てのストーリーはジョセフ・キャンベルが古今東西の「神話」を分析した「ヒーローズジャーニー」をお手本とした「ストーリー」作りが基本中の基本となっている。
ジョセフ・キャンベルの著作の一つ。世界中の神話化された英雄はそれぞれ異なる顔を持つが内包された共通項があるというお話。

ストーリーとは「凡人がヒーロー(男女・モノ・サービス関係なく)になる」というお話の総称だ。

ヒーローとは「戦隊モノ」だけを指すのではない。

そのストーリーがストーリーであるための鉄則は何か?
いくつかある鉄則の中でも、最も強力なもの。

それは「葛藤」である。

「そのお話には『葛藤』が含まれているのか?」ということである。


究極的に言えば、「葛藤」があればそこにストーリーは成立してしまうのだ。

面白いか面白くないかは別にして。

主人公が、「葛藤」を乗り越え、成長しヒーローとなって帰って来ること。

スティーブ・ジョブスがヒーローなのは、iPodやiPhoneを生み出したからだけではない。
彼は、生まれたあと里親に出され、巨大なコンピューター企業(IBMなど)に挑み、一度は自分が創業した会社から追われると言う、幾多の苦難、葛藤を経て、Appleを世界ブランド企業にしたからヒーローなのだ。

身もフタもないが、これがストーリーである。

例外がありそう?

いや、ほぼ無いと断言出来る。

葛藤とそれを乗り越える様が描かれないお話は「ストーリー」では無くて「散文」であり、英語でプローズと呼ばれるモノだ。


全ての文章が「ストーリー」である必要はない。
ブログやコラム、論文などでは「ストーリー」ではなくても優れた文章は多い。

ここで明確にしたいのは、人が熱狂するようなハリウッド映画の主人公にしても、ブランドにしても、人の感情を揺り動かすエピソードは必ず「葛藤」を乗り越えるストーリーを持っているという事実だけだ。


「葛藤」を乗り越えるストーリー構成


その構成とは簡単に言うと次のようになる。

1.Call to action (アクションが必要となるきっかけ)
2.Refusal the call (行動しても失敗をしてしまう。億劫な心や物理的な葛藤や試練)
3.The Journey into the unknown (葛藤を乗り越える為の旅。旅とは「旅行」ではなく、苦難を乗り越える為の行動のこと。)
4.Return of the Hero(晴れて葛藤を克服した主人公となって試練の旅から帰還する。)


1.Call to action (アクションが必要となるきっかけ)

タイタニックのジャックはポーカーで夢のチケットをゲットした。
貧乏生活から抜け出す為に新天地ニューヨークを目指す。

ある中年コヤジはしけた不良中年にならない為に、お金払ってでもご遠慮したかったランニングを始めた。
僕の事だ。

2.Refusal the call (行動しても失敗をしてしまう。心や物理的な葛藤)

不朽の名作「がんばれベアーズ」はリトルリーグの弱小チームが主人公だ。
なんとかチームの体裁を整えて試合に臨むが、連敗してしまう。しかもチームの監督はしょぼくれたオッサンだ。
まさに王道な設定。

中年コヤジは走り出す。最初の200Mでつらくてタマラナイ。
俺は一体何の為にこんな事をしてるんだ、というメンタルの葛藤と、
息があがって過呼吸みたくなってしまい、ふくらはぎが千切れそうになるくらいに激痛というフィジカルな葛藤にやられそうになる。
僕の事だ。

3.The Journey into the unknown (葛藤を乗り越える為の旅。旅とは「旅行」ではなく、苦難を乗り越える為の行動のこと。)

ゴッドファーザーのマイケルは、距離を置いていたマフィアな父が凶弾に倒れた事で、自らの運命を知る。
自分はマフィアにはなりたくない。しかし、血と運命には逆らえないのだった。

アスリートで優しい仲間からランニングの指南を受ける。
シューズ選び、テクニック。
もう戻らない決心をしたのだ。しけた中年には。
僕の事だ。

4.Return of the Hero (晴れて葛藤を克服した主人公となって旅から帰還する。)

スターウォーズのルークは、最大の敵が父親だったという葛藤を乗り越え、帝国軍を倒す。
彼は父親のダースヴェイダー卿をも改心させ、銀河に調和をもたらし、真の英雄となって帰還する。

そしてクドいが僕のランニングストーリー。

走りながら「ほら、やめちまえよ。こんな苦しい事続けて一体何になるんだ?え?お前は究極のアホだ」ということを、際限なく繰り返しささやき続ける悪魔なダークサイドにいる自分という「本当の敵(究極の葛藤)」と闘い続けた。


そして、ある時「Moment of the truth. 真実の瞬間」が訪れる。


「四六時中苦しい時間=ランニング」と言う所から、「あれ?苦しくない!」という「ゾーン」に達したのだ。

葛藤を甘んじて受けたモノにしか訪れない、「 一線を越える瞬間」だ。

僕は晴れ晴れとした面持ちで、自宅のドアを開け、シャワールームへ直行したのだ。

僕はヒーローとして帰還したのだ。

そしてここで終わってしまっては、ただの陳腐なストーリーだ。

このストーリーがカッコ良く、真のヒーローズジャーニーとして完結するには、大きなイベントが必要だ。


具体的に言ってしまえば、それはホノルルトライアスロンやホノルルマラソンや東京マラソンとかそういうビッグな舞台に出場し完走する、とかいうエンディングが必要なのは言うまでもない。


と、まぁこのように、「ストーリー」には葛藤を乗り越える試練と未知の旅とその旅からの帰還が必須だということが分かると思う。



まとめ。


文章やプロダクト、サービスで「ストーリー」を語ろうとする時は、まず「葛藤(Conflict)」を探そう!

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