僕たちはみんな年が変わる度に別の人間になるんだ。
僕は、生涯を通じて、誰しもがずっと同じ人間であるとは思っていないんだよ。
(All of us every single year, we're a different person. I don't think we're the same person all our lives.)
by スティーブン・スピルバーグ
東京に滞在していた時、僕は同世代(中年コヤジ、妙齢女子)の友人、知人らと、出来るだけグループじゃなく、個別に会って酒を飲んだ。
(思い切って!)一年もの長いバケーションを取ってしまったので、自分がどこまでボケてしまったのか、単純なキャッチアップをしたかったのでした。
そんな中で、外資系企業でディレクター職についているオトコと話した夜のことが印象に残っています。
僕は無責任極まりない男なので、「お前も会社辞めちゃえば?!」などと煽っていた訳ですが、彼は「お前は能天気過ぎる」という顔で言った。
「だよな。そうしたいとは正直思う。
でもさ、自分が何が出来るのか、何をしたら良いのか全く検討もつかないんだよ。
ただこの息詰まりな感じだけはなんとかしたいぜ。」
ジェネリックに言ってしまえば、彼は決して無能な男ではない。むしろ有能だ。
後輩からも、部下からも、上司からも、そしてきっと顧客からも信頼され、歳を食って異常に酒に弱くなってそこら中で寝てしまうことを除けば、実に完璧な男だ。
そんな彼ですら今の現状に閉塞感を持ち、将来に対する展望がうっすらとも見えなくなっている様子に僕は頷いて、ホッピーの黒をおかわりする事しか出来なかった。
- 勤務している会社の方向と自分が目指したい方向とのギャップ。
- バブル全盛上司や氷河期サバイブ部下との世代間ギャップによるソリの合わなさ。
- 今の仕事が本当に自分のしたい事なのか、年々不明確になるのに、気が付くと一日が終わってる気持ちの悪さ。
- 家族も出来て、自分の収入が自分だけのものではなくなった責任感と自由への渇望との葛藤。
- 何よりも、キモい政治屋の跋扈する企業という組織への嫌悪感。
- 年々消えかかって来る様に思える人生への情熱の炎に辛うじて枯れかけたオイルを注ぎながら過ごす生活。
- 同世代や年下の人間がスタートアップで苦労しながらも輝いている姿へのかすかな憧れ。
これは、彼だけではない。
そう、数年前の僕自身の姿でもあるのだ。
東日本震災後の会社勤めへの違和感。
そして、下血してぶっ倒れ緊急搬送された2011年暮れから続いていた虚無感。
昔だったら、「それが大人になることだよ。何を甘い事言ってるんだ」と一笑に付されるような心の葛藤だ。
しかし、「葛藤」は乗り越える為にそこに存在しているのだ。
優れたストーリーには必ずヒーローが乗り越えなくてはならない「葛藤」が設定される。
「葛藤」がなくてはそこにヒーローも存在しないのだ。
これはストーリーテリングの動かしようのない鉄則の一つだ。
そう、僕ら中年は、その葛藤を乗り越える事で「ヒーロー」になれるかもしれないのだ。
無名のヒーローでもいいじゃないか。
自分の心の中にいるだけのヒーローでもいいじゃないか!
では、そこにいる凡人がヒーローになる為には、どうしたら良いのか。
答えは「旅」にある。
先に言っておくと、「アンコールワット遺跡を観に行こう」という旅行の事ではありません。
(いや、それでも充分価値があるはずだ。)
先に言っておくと、「アンコールワット遺跡を観に行こう」という旅行の事ではありません。
(いや、それでも充分価値があるはずだ。)
「葛藤」を乗り越える為に「旅」に出る。
ヒーローズジャーニー。
ルークスカイウォーカーも砂漠の星で、くすぶっているただの文句ブーブーの小僧だった。
それが、苦難と葛藤を乗り越え、最後には英雄として讃えられ、旅から帰還して、エンドタイトルとなる。
ロッキーもしがないヤクザ稼業から、エイドリアンと出会い、一縷の望みをかけて世界チャンプと対戦するまでの葛藤を乗り越えて、伝説のヒーローになった。
ヒーローになる為の旅には鉄則がある。
それは日常を捨てる、ということだ。
自ら、非日常の世界に足を踏み入れて、幾多のチャレンジをこなさなければならない。
ロードオブザリングのように。
そして、新しい人生を手に入れる。
(ロールプレイングゲームもヒーローズジャーニーがベースなのは言うまでもない。)
だから、もしアナタが上に書いたようなくすぶった気持ちでいるのなら、思い切って旅に出るしかない!
きっとアナタは、大学を4年で卒業して、皆と同じ様にロンゲを切って就活し、そして10年以上もサラリーマン、OLを続けている人かもしれない。
敢えて断言してしまうと、それは「日常の連続」でしかない。
アナタは、次の転職先に移る時に、有休も消化しないような律儀な人間かもしれない。
でもそれはもう金輪際止めてみよう。
少なくとも有休分はmust、理想的には半年くらい。
人生に一回でいいから非日常の旅を取り入れてみよう。
もちろん、リスクは伴うのは覚悟の上だ。
お金も減る。家のローンは。子供の教育は。
そうあなたは責任のある立場だ。
家族をリスクにさらす必然性は僕も感じない。
家族をリスクにさらす必然性は僕も感じない。
でも、もし自分の人生をただ「浪費」しているように感じるのだったら、そしてそれが堪らなく嫌なんだとしたら。
やってみる価値はあると思う。
僕の様に馬鹿げたチャレンジは出来ないかもしれない。
しかも、それ以上に僕は無責任だ。
文責はあるが、あなたの人生の保障は出来ない!
自身が信じるチャレンジに身を投じれば良いという話だったらどうだろう?
だから、「非日常」というキーワードで
自分なりの「旅」を探してみよう。
リスクを取ってチャレンジをしなければ、あなたがヒーローになることはきっとこの先も無いだろう。
何故なら、それは鉄則だからだ。
これは思いっきり蛇足かもしれないけれど、あなたが共感する全てのハリウッド映画をもう一度観てみよう。
そこには、必ず主人公が葛藤に直面し、それを乗り越える様が描かれているはずだ。
どんなドラマにもだ。コメディでも、マフィアモノでも、スパイダーマンでも。
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もしその映画が駄作だと感じたら、その葛藤が巧く描かれていないか、もしくは完全に組み入れられていないかのどちらかだ。
(邦画に結構多い気がしてるのは僕だけだろうか。。)
唯一の例外はハリウッドのシステムの出身ではないタランティーノのレザボアとパルプフィクションだと個人的に思ってます。
あなたが自分のストーリーを演出するディレクターだったら、どう葛藤を乗り越える展開を描くだろう。
そして、どのような新しい日常を、人生をその先に描くだろう。
などと。。。
偉そうにほざく僕個人のヒーロージャーニーはまだ始まったばかり。
まだまだ旅の途中。
幾多のチャレンジに出会いながら。
自分をあたかもインディアナジョーンズのように思い込みながら。
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