それはイケメンすぎるゴリラのドアップから始まった。
TOYOTA Vellfire イケメン過ぎる。まさにヒーローだ! |
なんでゴリラ?
とか。
何か上から目線で嫌だ、
とか。
日本には重箱の隅をつつく視聴者が結構いるのでこのCMも好き嫌いが別れるだろう。
そもそも、製品に関係ないじゃん。
みたいな。
いやいや、このCMは秀逸です。
あるターゲット層にはグサリと刺さるはずです。
一切製品の説明をしていません。
CMでそんなことをする必要はありません。
製品スペックを知りたければネットで検索すればすむことなのだ。
まさにターゲットであろう、30代40代サラリーマンで子持ちみたいな男にチャレンジを仕掛けて来ているのです。
男よ、取り戻せ、心躍るような熱い思いを!
社会人になって、結婚して、子供が産まれたアナタ。
会社では中間管理職として、部下、上司、顧客の間に挟まれ協調を強いられる毎日。
家では妻をねぎらい、子供の運動会では撮影のベストポジションを競い合うパパだ。
家族全員が乗れるミニバンを運転、週末は郊外のイオンモールでお買い物に出かけるのだ。
規律を重んじ、協調性を保ち、常識的に行動する事で他人に迷惑をかけない生活。
それが俺たちだ。
ちょっと待て。
もしかすると俺たちは心を躍らせる何かを失っているのではないか。
それは、「自由」だ。
それは、「個性」だ。
そして「冒険する心」だ。
ゴリラの姿をしているのは、アナタの心の奥底に潜む野生のメタファーだ。
当然、これがイケメンのモデルか俳優だったら、視聴者たる男達が共感することは出来ない。
キャスティングとしてはワイルドでイケメンなゴリラが正解なのだ。
人間は猿から進化したかもしれない。
しかし、進化の先で失った何かがあるのだ。
野生を取り戻せ!
とブラックヘアの方のゴリラは訴えて来ているのだ。
「オレは、お前が諦めた全てだ」
そう迫るこのゴリラはアナタにとってのヒーローなのだ。
そしてヤツはアナタの心の中にいるのだ。
マライア・キャリーもヒーローはアナタの中にいると歌っていたではないか。
お前が諦めてきたものは何だ?目を覚ませ、そしてもがけ、と挑戦してきているのだ。
それを意識の中で顕在化させる時。
「そうだ、オレは人生に諦めてはいけない」と男は思い返すのだ。
統制された社会の一員として身につけた責任、大切な家族、それらを捨てろ、と言っているのではない。
自由と個性ばかり主張し、家族に迷惑をかけまくる冒険野郎はカッコ悪い。
規律の中で自由を模索し、協調の中で個性を発見し、常識的生活の中で冒険に駆り立てる何かを見つける事。
二律背反する、矛盾するような価値を心の中に飼え、そして男らしくもがけ、あがけ、ということだ。
そうすれば、単調で常識的過ぎる自分の毎日に輝きを取り戻せるはずだ。
アナタは、秘めた野生を、心の中のヒーローを、ずっと諦めて来た何かを思い出す事が出来るであろうか?
日常の自分でいる事に疲れたら、このワイルドゴリラを思い出そう。
そして、毎日の生活に冒険心を取り戻すのだ。
ちなみに、残念ながらこのヴェルファイアは売れないかもしれない・・・・。
なぜなら、現実の社会では、購買の実権は奥さんが握り、旦那に野生を取り戻されたらたまったもんじゃない!、とか考えているかも知れないからだ。
そういう奥さんにお伝えしたい。
これは、いつものミニバンです。
お買い物にも小旅行にも便利ですよ。
今まで通り、旦那さんがドライバー兼荷物持ちですからご安心を!
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