君はどっち派?
今日、広告業界の尊敬する先輩がフェイスブックに面白いポストを上げていた。
今,広告業界にはブランド派とダイレクト派の二大流派が存在している、というような内容だった。
それはきっと事実だ。
ブランド派というのは、主にCMなどに代表される動画コンテンツやストーリーで長期に顧客との関係性を創造するもの。
ダイレクト派というのは、古くはダイレクトメール、ちらし、今はネットを中心に、潜在顧客の購買行動に直結するようなアクションをシンプルに促すもの。
「ダイレクト派」は物が売れない時代にあって悠長に「ブランディング」をやっているうような、クリエイティブを否定する論調もあるように思う。
一方で、「ブランド派」は、情緒のかけらもないような、「これにお困りなら是非クリック!」みたいな、取りあえずナンパしてデート出来そうな女の子の電話番号をなるべく数多くゲットするような(リストの獲得)みたいなノリに一種の違和感(古い人になると嫌悪感すら!)を覚えている。
要は、どっちも相容れず、ポーカーフェイスで互いをディスってるのが今の広告業界だ、みたいな感じなんだろう。
僕は、そのポストに対して、
「そもそも、目的、戦略によって手段が異なるだけ。
両派があったとして、双方がディスり合うのは、双方とも広告を分かってない。
広告は手段であって思想ではない。
双方使い分けるのが賢いクライアント。」
というような偉そうなコメントを残したのだ。
要するに、広告を手段とする誰か(主に広告主)が主体性を持って、自社のサービスや製品のプロモーションを図っていく、というサバイバルな状況では、どっち派みたいな議論は意味をなさないと思ったからだ。
そういう事を、考えていて、この議論は何かに似てるとずっと感じていた。
それが、仕事が終わって自宅でゆっくりワインを飲んでいたら「ああ、これか」と気付いたのだ。
それは、「会社員」で行くか「起業(自営・フリーランス)」で行くか、二者選択みたいな議論に似ていると思ったのだ。
会社員 vs. 起業家・自由業連合といった対立するような議論だ。
君はどっちを選ぶ?みたいな。
社畜vs.自由、とか表現されるケースもある。
安定志向vs.リスクテイキング、みたいな。
僕もそういう究極の二者選択の中で、サラリーマンを辞め、自営、フリーの道を選んだ、という気分になっていた。
アタマの片隅では、「起業家・自営・フリー」の方が何となく、頑張ってて、自由を求める為にリスクを取った崇高な冒険者みたいなイメージを持っていたのかもしれない。
でも、それって本質の議論ではきっと無いはずだ。
前にブログでも書いたけれど、僕自身も表面上の「枠組み」に無意識にこだわり過ぎていたのではないか、と気付いたのだ。
自分がかつて所属していたような大企業と対比して今の自分はスモールビジネスだと定義したり、飲みトークなシチュエーションでの発言がアンチサラリーマンになっていたり。
最初にあげたブランドかダイレクトか、という議論に似ていると感じたのだ。
最近、一代で上場企業を築いた先輩に言われたような
「自分でスモールビジネスとか『枠』を決めるな。ビジネスに大も小もない」
という言葉に最近響いたばかりだったからなおさら、二軸な議論に違和感を憶えたのかも知れない。
そういう「何とか派」とか「サラリーマンかフリーか」みたいな議論は実はきっとどうでも良いのだ。
確かに自分の専門性を磨く、という意味で敢えて定義するのには充分意味があるだろう。
(前述の先輩のフェイスブックポストも、どちらも専門性を持って、ビジネスにあたるべきで、対立するべきものじゃない、というニュアンスを持っていた事は明記しておきたい。)
自分という人間が主体性を持って、自由と責任のいずれも背負っていくような経済的な活動には、大小とか、会社員も自営も起業も、何も関係がない。
全ては手段であり、人生の目的は別にあるし、その時々の戦略によって必要な戦術としての手段や場所を選べば良いだけの話なのだ。
それが真の意味で自由な個人、となるような気がする。
そう考えたら、むしろ人生のオプションが急に目の前に増えて来たような気がする。
何かにこだわっていると、大きなところが見えなくなる。
僕は、自分自身が主体性を持つ事で、自分がどっち派、どっち側、みたいな昔の自民党みたいな派閥の罠に陥るのはヤメようと、考えたのだ。
僕が歴史上の人物で最も尊敬するのは勝海舟だ。
優れた幕臣でありながら、政治家。イケメンでもある。 彼こそ大局を見極めて行動した自由人だ。 |
彼は幕府側にいながら、最後は維新後の政府側で重要なポストをいくつも兼任して、伯爵にもなった。
勝てば官軍、負ければ賊軍、と言われた時代に日和見と言われた揶揄を下のように一蹴した。
「行いは己のもの。
批判は他人のもの。
知ったことではない。」
実に名言だ。
大局を見据えて、徹底して自分の筋を通し、こだわり抜いて行動した姿に僕は深い感銘を受けるのだった。
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