Koy's blog

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2015年8月29日土曜日

レストラン業界はクリエイティブアイデアの宝庫である

ここ数年、コミュニケーションの手段としての「広告」は「クリエイティブ」としてその役割を終えた、とすら感じている。

それは、「テレビCMからデジタルへの移行のことか」、というのとはちょっと違う。

前から思っていたのですが、最近特に、

日本で最もクリエイティブな業界は飲食業界

ではないかと思っているのだ。

コミュニケーションにおけるクリエイティブを売りモノにする広告業界出身の僕はそう思う。


もちろん、飲食業界は広い。
ひとつの業態を見て論評できる世界では当然ないだろう。

オヤジがやってる古くからのシンプルな支那そば屋、ブラックの代名詞となってしまった某居酒屋チェーン、
ミシュランの三ツ星がつくようなレストランまで様々だ。


僕はグルメではない。


僕の舌は、ビジネスクラスの機内食であれば、「美味い!」と言ってしまうレベルだし、
牛丼チェーンを愛用してるのは、安い、便利、以外に「マジに美味い」とか思っているからだ。

そもそも、お酒の種類も含めて好きな食べ物を聞かれると答えに窮してしまう。


その場のタイミング、雰囲気で僕の舌の感覚は大きく左右されてしまうからだ。

かつてミシュランの星がついたレストランに顧客の接待で行った事があります。
その客とのトークは信じられないほど気を使うものだったので、その店の料理の印象も味気ないものになってしまった。


お客と別れた後に行った床が油でギトギトなラーメン屋の豚骨の美味さは身に沁みた。

真冬のどうしようもないくら寒くて、孤独な夜、みたいなシチュエーションで吉幾三かなんかが流れている客の少ない居酒屋のカウンターで飲む熱燗は最高の味がするだろう。


素敵な割烹料理屋で素敵な女子と飲む獺祭より美味いかも知れない。(これは嘘だ)


「食」というのはダイレクトに人間の「本能」や「感覚」に直結している。


だから、同じ質の料理を出しても、その雰囲気や、レストランの持つストーリーによっても客側の体験が変わってしまう。


もちろん、客サイドの経験も大きく関与する。

究極のワインといわれても、自分の舌が数多くのワインに親しんでなければその価値は恐らく分からないだろう。

そういう、「感覚的」な舞台で勝負して「リアルビジネス」を展開しているレストラン業界というのは、まさに圧倒的に大変だし、常に客のポジティブな、もしくは理不尽な評価にさらされている。

今はネット社会なので、エセグルメみたいな素人からの評価にさらされる。

雰囲気も抜群な店も90年代後半から圧倒的に増えて、今でも留まる事を知らない。


熾烈な競争社会だ。

そこでは、いくつもレストランを展開する企業も個人も同じ土俵で勝負している。


(そういう意味では、超大手二社に独占されている広告業界より健全でフェアだ。)

しかも、東京だけに限らず日本の外食は基本的に美味しい。


僕の舌はグルメではないが、やはりオフクロに「出汁」の味を仕込まれたせいか、「マズイ」ものは即座に分かる。

アメリカは、申し訳ないが本当にマズイメシ屋が多い。


「美味い」という評判のイタリアンでも日本の街の喫茶店のママがつくるミートソースやサイゼリヤの方が100倍ウマい場合だってある。


というか、その方が圧倒的に多い。(あくまでもオレの舌調べ)

日本ではマズかろう安かろう、という原則が急速に過去のモノになっている。

安くても抜群にウマい所が一杯あるのだ。
その中で、競争し、かつ客単価を上げて利益を出すのは生半可な努力では無理なのは、グルメな舌を持たない僕でも分かる。


飲食業界にとっては大変な時代だ。

僕はこんな時代にレストランビジネスを展開している諸兄諸氏の皆さんを心から尊敬している。

お客さんが満足する空間を作り、心地良くし、さらに「食欲」という本能を満足させるメニューとレシピ。


そこにあるのは、


「感覚的な顧客体験」と「リアルビジネス」のマリアージュだ。


これこそがクリエイティビティと言わずして何と言うのか分からない。

そこでは「味の体験」はデフォルトだ。

さらに「ストーリー」「世界観」「顧客を裏切らないサービス」の確立が必要なのだ。

さらにリピートしてもらうには「常に期待を上回るサービスを提供」することが求められる。

それはクリエイティビティへの挑戦だ。

クリエイティビティとは「問題解決への態度」だと僕は定義している。


そしてクリエイティブとはすなわち「ソリューション」の事。






人間の究極のニーズである「食欲」へのソリューションを常に考えているレストラン業界には示唆が多い。

何度も書いて恐縮だけれど、既にこの時代、オールドスクールな「広告」はブランディングにおいては全く頼りにならない。


ブランディングにおける「問題解決」の示唆の多くが「レストラン業界」に多く存在している。

マスメディア以外の個人や街がメディアになり得るのは、既に確証済みだが、果たしてその方法を探るのは簡単ではない。

その点で、レストラン業界の動向やチャレンジは「広告」に頼らないブランド創りにおいては大いに参考になるのである。


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