素敵すぎる。
「ほとんどディズニーシーだぜ」とかうっかり思いそうになってしまって、慌てて思い直した。
ディズニーに敬意を払いつつ「あっちはフェイクだ(汗)」と。
当然だが、今でもそこには人が暮らし、活気があふれている。
エスプレッソをサクッと飲んで立ち去る姿は東京のセガフレードで真似をしようと決めた。セガフレードの店員さんも意味不明にイタリア語を喋ってるし。ボンジョルノとか言ってしまおう。
ヨーロッパの他の旧市街と同様にその世界観は中世から近代までで完全に止まっている。
ふと息子を見ればダウンを着た「母をたずねて三千里」のマルコに見えてしまう親バカなのであった。
マルコはこのジェノヴァから旅立って母さんを探す旅に出たのだった。涙。
城壁の外に出れば、現代的なオフィスビルが現れる。
タイムマシンから吐き出された不思議な感覚だ。
そう「城壁」。
ヨーロッパの歴史は常に「外敵」の侵入からの防御の歴史だ。
「対立」の歴史と言っていい。
ちょうどジェノバを訪れた日にベルギーの空港と地下鉄がテロで攻撃されたというニュースがあった。
悲惨な対立の歴史は形を変えて現代でも続いている。
日本のメジャーな週刊誌がすっぱ抜いたとかいう有名人の不倫とか経歴詐称がメディアを賑わす日本は信じられないくらいに平和なんだと今さらながら思う。
で、ヨーロッパの旧市街は例外なく城壁に囲まれている。
日本に城下町はあるが、城壁という文化はない。
はっきり言って誰でも侵入可能なのだ。
隣国の中国大陸もその「地域」の歴史を見れば万里の長城しかり、紫禁城しかり、城壁はセットだ。
ちなみに、中国5千年の歴史とかいうけれど、事実は違うと思っている。
あの大陸の歴史は異民族の侵略と異民族が成立させた王朝の勃興の歴史だ。
清は万里の長城を乗り越えてやってきた満州族だしその前の元はモンゴルだ。
今の中国だって共産党の王朝だ、とも言えるだろう。
なので、もはや国が違うと言っていい。
同じようにヨーロッパは有史以来、その国境は生きているように形を変えてきた。
城壁という発想がなくて、外敵の侵入というヤバい事件が鎌倉時代の元寇を除いてほとんどない日本とは全く歴史的背景が違うのだ。。
同じ王朝というか天皇家が少なくとも千五百年は続いていて、かつてないほどにコテンパンにやられた第二次大戦後も国体を護っている日本はほとんど奇跡だ。
要するに、日本を除く大部分の文化圏では、外敵の侵入を防ぐ、というのはめちゃくちゃリアルで蚊を防ぐベープマットみたいに日常的な事だったのだ。
異教徒や(襲われる側から見て)蛮族が常に自分達の土地や女性を狙っていて、それを守るということは朝起きて顔を洗うくらいに普通のことだったのだ。
昨年来、日本で話題になっている国防を前提とした憲法改正・解釈の変更の議論は、対立と防御が日常である世界から見たらどう見えるのだろう。
そんなことを真昼間のカフェで白ワインをがぶ飲みしながら考えていた。
そうやって、城壁に守られた旧市街は今、現代に中世の趣を残して、観光資源にもなっている。
歴史と(それなりの努力をしながら)普通に共存しているのだ。
日本の都市には旧市街というコンセプトはない。
外敵が襲ってくるリスクもほとんどなかったから、鉄壁な城壁で囲んで街を守る、という発想もない。
夏の間、凄まじい湿気に襲われる日本では紙と木で作る家が快適に生活する上でベストだった。
そして、紙と木で作られた家屋は耐久性がないので、コンスタントにリペアや建て直しが必要だ。
伊勢神宮や出雲大社だって遷宮と称して、大々的な修復作業を行う。
もちろん、例えばお伊勢さんにはおかげ横丁とおはらい町という江戸時代のまんまな素敵な町並みを堪能できる。
ただ、それもテーマタウンとして赤福のレジェンドな社長が音頭をとって実現させた人口の街だ。
(あれは素晴らしい試み!赤福万歳!)
日本では文化とは常にリフレッシュというかリセットを繰り返しながら紡いでいくものだったし、文化のベースとなる日常の生活は外敵(外国)からの防御とは無縁で来たのだ。
という事で、ジェノヴァの旧市街はリアルだ。
世代を超えて守ってきたものが、時空を超えて現代とつながっている。
そしてある意味、象徴的だ。
外に出れば、そこは敵だらけ。
国家間のみならず、人との関係性はまず対立から始まる。
それがヨーロッパの歴史であり、現代のビジネスでも同じだ。
日本のように、話せば通じる、という文化は世界では稀だし、幸せなことなのだ。
そして、家族を、所属する集団を、そして国を守る、ということはどういうことか、あまり深く考えずにこれたのも日本なのだと僕は思う。
さて、ジェノヴァ。
集合アパートからは洗濯物が鮮やかに並ぶ。
そして、僕らのような観光客を心から楽しませてくれる。
一方で、そこに住んでる人たちの不便さはハンパないんじゃないか、とか思う。
車だって制限されるし、水道や電気といったインフラだって我慢しなきゃならないことが多いだろう。
引っ越しをしようと思っても、アート引越しセンターみたいな熟練の引越し屋さんでもお手上げ必至な街とアパートの構造。
ジェノヴァの美しい旧市街をまったりと歩きながら、俺がここに一生住め、とか言われたらきっと不便すぎて2、3ヶ月で根を上げてしまうだろう。
ということで、ジェノヴァの旧市街市民をリスペクトしようと決めたジェノヴァでの休日でした。
追記。。。
散策中、直感でここは絶対に美味そうだ!というトラットリアを見つけた。
で、やっぱし本場ジェノベーゼ!とか思ったら
「今日のメニュー」になかった。
観光客丸出しで肩を落とした俺に「大丈夫!作ってやる」
と優しい言葉をかけてくれた店主。
美味かったっす。Grazie!
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